NO.42 キキョウラン
Dianella ensifolia (L.) DC.

(ユリ科・キキョウラン属)

 キキョウランは、小笠原の他に、本州南部から琉球、東南アジアにも分布している広分布種です。常緑多年草。

 本州や琉球では海岸植物ですが、海岸植物が山地に生える小笠原では、キキョウランも例に漏れず山地の林縁や林内で生育しています。
草丈0.5〜1m、葉は滑らかで一列に並ぶ。葉脈は縦に走り、主脈が裏面に突出して鞘部で鋭い稜があります。
(3月:父島・東平遊歩道沿い)
 花期は4月〜8月頃。
1m程の花軸を伸ばした円錐花序(ナンテンやヤツデ、アオキのような花の付き方で、花の軸がわかれて、その先にふさのように花を付ける)青紫色の清楚な小花です。

花弁は6枚に見えますが、外側の3枚は外花被といい、がくが進化したものです。内側につく3枚の内花被が本来の花弁です。
(4月:父島・東平遊歩道沿い)
一見、がくも花弁も同じように見えますが、外花被の方が青紫色が濃く、内花被は青紫色の線が細いので色が薄く見えます。

こうした外花被と内花被の6枚でつくる花の構造は、ユリ科の多くに見られる特徴です。

 果期は5月〜9月、卵球形の実を暗紫色に熟します。

 キキョウランは、華々しくも派手な植物でもありませんが、葉は観賞ができ、花や実の絶妙な色合いは他にはない美しさがあります。
(9月:父島・字西海岸)

広分布:草本類(1)の表紙にかえる