NO.42 ムニンボウラン
  Luisia boninensis Schlecht.

固有種:ラン科・ボウラン属

     

 6月に入ってすぐ、ムニンボウランが咲き始めました。

ムニンボウランは、固有性の高い林内の樹幹や岩壁に着生している小笠原固有のランで、名前のごとく茎も葉も一見どちらか分らないような棒のような姿をしています。よくみると、茎は着生している根から伸びています。葉は、互生で長く伸びて垂れ下がっている棒状のものがそうです。 


花は、葉腋から花茎を伸ばし、薄い黄緑色の小さな花を咲かせます。

小さく地味な色ではありますが、よくみれば立派なランの花で、長年生きてきた大きな株には古株の風格があります。

2004年6月(父島某所)
 
母島で山に行ったときには高い樹高の樹に着生して、強い風で幹が折れたのでしょう、古い幹ごとムニンボウランが落ちていたことがありました。

オガサワラシコウランもそうですが、着生ランはときどき剥がれ落ちたり、着生していた場所の環境が変わったりすると人知れず枯れていることもあるようです。が、その一方で、返還後はもっと見られたというムニンボウランは、盗掘があると危惧される植物です。

今現在も、樹が元気なところで低い場所にあったものが急になくなったりすることがあります。
ランというだけで人の趣向品のように盗られていいはずがありません。人間は自然の友達にはなれないのでしょうか。。。


 私たち島民は、島に古くから住んでいた植物たちを次世代に繋げるために、大切に見守っていく使命があると思います。
また、今年(2004年)から島にいる都レンジャーが見回ることで、これから先盗掘が減ることを心から願っています。

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