NO.8 オオハマボッス
Lysimachia mauritiana Lam. var. rubida (Koidz.) T.Yamaz.

固有種:サクラソウ科オカトラノオ属

(2004年5月:嫁島) (2006年2月:父島)

 オオハマボッスは、日本列島、東南アジア、インドなどの海岸に自生するハマボッスの変種です。
硫黄列島を除く小笠原諸島のほとんどの島に分布し、潮風のあたる海岸付近や山頂や稜線の岩石地に自生しています。越年草。

オオハマボッスは可憐な花を咲かせる美しい植物ですが、残念なことにノヤギの食害が多く、父島での個体数は少ないです。
ノヤギを駆除した南島や聟島列島などでは、真っ先にオオハマボッスやシマザクラなどが生えて、現在では春になると多数の花が咲くほどに回復しています。

 草丈10〜40cm程。全株無毛。
葉は、風衝地のものは幅が細く小型になります。
風の当たらない草地では葉の幅が広く、枝はよく分岐して大きな株になります。

 花期は2〜5月ごろ。
赤褐色の枝先に総状花序を伸ばします。
花は、白花か薄い淡紅色を帯びた白花を咲かせます。

 果期は6〜9月ごろ。
果実は卵形で、先端に果実と同長かやや長い花柱が残ります。
果実は熟す頃になると花柱は枯れて、ちょうど壷のような形になります。
そして果実の口が開き、小さな種子を多数出します。
オオハマボッスは、花が咲いて果実をつけると枯れてしまいます。

和名は「大浜払子」と書き、花序の姿が僧の持つ払子(ほっす)※1に似ていることに由来しています。

葉(2004年5月:東島) 果実(2004年5月:東島)
 ※1:払子(ほっす)・・・長い獣の毛などを束ねて、柄をつけた具。
               インドで蚊を追い払うために用いたものが、のちに法具となり、
               日本では禅僧が煩悩を払う法具として用いています。



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