NO.5 オオトキワイヌビワ
      Ficus nishimurae Koidz.

固有種:クワ科・イチジク属)

 オオトキワイヌビワは、父島と母島にのみ分布しています。やや明るい林内の樹林下から、ひょろりと枝を伸ばしている姿が印象的です。

東平山道や夜明道路沿いでも、時折そんなオオトキワイヌビワに出会います。

 小笠原諸島のイチジク属には、母島固有のオオヤマイチジク、父島と母島に分布するオオトキワイヌビワ、小笠原諸島に広く分布するトキワイヌビワの3種に種分化しています。

 トキワイヌビワが枝分かれが多く、樹幹が太くなる小高木になるのに対して、オオトキワイヌビワは極端に枝分かれが少なく、大抵1〜3本くらいの枝が1〜2m程伸びています。

葉が枝先付近にしかなく葉の肉質は厚く硬い。
頭の方が重そうで、いつもバランスをとるのが難しそうに他の樹種に寄りかかっています。
(5月:父島・東平)
 オオトキワイヌビワは6月に花が咲くと「小笠原図譜」に書いてあるので、これは花でしょうか。

イチジク属の植物は、花嚢(かのう:多肉のつぼ状花軸の内面に多数の花を咲かせる)という外見からは花か果実かわからない形のみならず、特定のイチジクコバチ類との1対1の共進化の歴史をもつ面白い生態を持っています。

イチジク属の植物は、イチジクコバチに若干花を食べられてしまいますが、受粉もしてもらい互いに子孫を増やしているそうです。

 オオトキワイヌビワは、絶滅危惧種TB類(EN)に指定されています。
(5月:父島・東平)



固有:木本類の表紙にかえる